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中国湖北省武漢市で多発する新型コロナウイルスによる肺炎が、中国の国内外に拡散している。中国中央テレビ(CCTV)によると20日午後8時(日本時間同9時)時点で、中国国内の感染者は218人に上った。死者は3人となった。韓国でも20日、武漢市から入国した中国人女性の感染が確認された。中国は春節(旧正月)に伴う24日からの大型連休で旅行客が多くなるため、感染拡大が懸念されている。

国営新華社通信などによると、習近平シージンピン国家主席は20日、「人々の生命の安全と健康を最優先し、感染拡大を断固として抑制する」ことを関係当局に指示した。中国外務省は、世界保健機関(WHO)や各国と情報共有し、感染拡大の防止を図るとしている。

 武漢市政府は20日、3人目の死者が出たと発表した。武漢市では18、19日に新たに136人の感染が確認されており、市内の感染者は、死者3人を含めて計198人となった。

 さらに、CCTVによると北京市では5人、広東省では14人、上海市で1人の感染が確認された。

 政府専門家チームのトップで呼吸器専門医の鍾南山氏は20日のCCTVの番組で、武漢市を訪れていない人などへの感染も確認されたことを指摘し、「人から人へ感染している」と明言した。

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一方、韓国保健福祉省は20日、武漢市から19日に韓国の仁川空港に到着した中国人女性(35)が、新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表した。韓国での感染確認は初めて。女性は「春節」に合わせて5人程度で旅行中で、日本も訪れる予定だったという。これまで、日本では1人、タイでも2人の感染者が確認されている。

 中国の春節は今年は25日で、24日から30日までの連休前後に、帰省や旅行で延べ約30億人の移動が見込まれる。中国当局によると、10~18日にすでに延べ約6億7600万人が移動したという。

 国民の間では感染への不安が高まっており、中国版ツイッター微博ウェイボーやネット上には、ウイルスの感染を防ぐ「N95規格」と呼ばれる高機能マスクの買い占めや売り切れ情報の投稿が相次いだ。このため、中国政府は、「まだ感染の制御は可能だ」と不安払拭ふっしょくに躍起になっている。