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飾らない自然体の魅力を持つ人気女優だ。7年前にファッション雑誌『non-no』(講談社)の専属モデルになった際、ショートカットにイメチェンしたら、オファーされる役が変わってきたのだという。

 「それまでは髪が長かったのですが、自分の内面と合っているわけでもなかったんです。ショートにして、より自分らしくなりました」

 

それもあって、彼女自身が輝き出したのだろう。熱血刑事や不倫に走る既婚女性、婚約破棄されて婚活に奮闘する出版社社員など、さまざまな役を演じてきたが、役を演じる上で心がけていることがある。

 「演じる役に責任を持って、ちゃんと愛することを大切にしています。私がそばでその役に寄り添っていってあげないといけないなって」

どんな性格の役であれ、演じる人が「一番の味方になる」からこそ、役が生き生きとしてくるのだ。

 2日公開の3DCGアニメーション映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』では、主人公のリュカ(佐藤健)が、結婚相手の候補の1人として悩むフローラの声を担当している。国民的RPG「ドラゴンクエスト」シリーズの「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」のストーリーを原案に、VFXの第一人者である山崎貴が総監督・脚本を手掛けた作品だ。

 「この作品に携わることで、ドラクエがたくさんの人に愛されていることを感じました。ゲームをプレーされた方々のそれぞれの心の中に、ドラクエの思い出があるんですよね」

リュカが、父・パパスの遺志を継ぎ、魔界の門を封じるために天空のつるぎと勇者を探す旅に出る壮大な冒険物語だ。声の収録は、プレスコ(せりふを先行して収録する手法)をして、2年後にできあがったアニメーションに合わせて追加のアフレコを行ったという。

 「プレスコでは、キャラクターがどんな表情をしているのかが分からないので、手探りでした。佐藤さんと松尾スズキさんと3人で録ったときは、みんなで同じ壁のほうを向いて演じたのが面白かったです」

他にも有村架純、坂口健太郎、山田孝之ら豪華なキャストも見どころ。予想を超えるストーリー展開で、ドラクエファンもそうでなくても、楽しめる作品だ。

2004年の中学1年生のときに芸能界入り。しばらくは下積みが続いたが、それが今では役立っているという。

 「事務所の方針で、現場には1人で行っていたのですが、現場の人たちと関わっていかないと孤立してしまうので、いろいろな人とコミュニケーションをとるようになりました。何かあった時も『これはこの人に確認しよう』とか、考える力も鍛え上げられました」

 15年度下半期放送のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で主人公・今井あさに抜擢されブレーク。夢はかなったが、かなりハードな仕事だったという。

 「撮影がすべて終わった後、自分も(役と同じ)おばあさんになった気持ちになりました。でも、それと同時に『あさという人間を生きたのだ』と思いました」

 撮影中は女優を辞めたくなるほど、追い詰められたという。

「でも、ここで辞めたらすごく悔しくて。だから、やりきってやろう! と思っていました」

根性があるタイプなのだ。彼女にとって、女優の仕事の魅力は何なのだろうか。

「女優の仕事のどこが好きなのかと考えると、やはり大変ですし、何なのだろうって思います。でも、この役を私で見てみたいと思ってもらえて場所を用意していただくのはうれしいことなので、頑張りたいんです。朝ドラほど大変なことはもうないだろうと思っていたのですが、それを乗り越えても、試練は繰り返しあるんですよね。でも、今ではそれが面白いなと思います。終わりはないですね」

女優になったことで、どんどんたくましくなっているのでは?

「ホント、髭が生えてきそうです」

ユニークで前向きで、骨のある女優なのだ。(ペン・加藤弓子 カメラ・寺河内美奈)

 ■波瑠(はる) 女優。1991年6月17日生まれ、28歳。東京都出身。2006年、ドラマ『対岸の彼女』(WOWOW)でデビュー。17年にエランドール賞新人賞と、ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)でザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞した。8月24日に『24時間テレビ 愛は地球を救う42』(日本テレビ系)内のドラマ『絆のペダル』に出演。10月から『G線上のあなたと私』(TBS系)に主演する。