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ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は7日、先週末に銃乱射事件が起きたオハイオ州デートン(Dayton)とテキサス州エルパソ(El Paso)を訪問し、被害者を見舞った。訪問直前には自身の言葉について「人々を団結させる」と述べていたトランプ氏だが、同氏の人種絡みの言動が過激主義をあおっていると批判する抗議デモに迎えられ、政敵への非難を繰り返す結果となった。

白人至上主義者を名乗る男がヒスパニック系の常連客の多い米小売り大手ウォルマート(Walmart)店舗で22人を殺害する事件が起きたエルパソに入ったトランプ氏は、1時間半にわたり病院で職員や被害者らと懇談。その後、メラニア(Melania Trump)夫人と共に緊急司令センターに移動して警察官らと面会した。

街頭では重装備の警官隊が見守る中、「帰れ。あなたは歓迎されていない!」「トランプの憎悪と人種差別主義はお断り」などと書かれたプラカードを掲げて抗議デモが行われた。

これに先立ち9人が死亡したオハイオ州デートンを訪問した際も、同様の抗議デモがトランプ氏を迎えた。両市ではトランプ氏の支持者らも街頭デモを実施。大統領選が来年に迫る米国の分断をまざまざと浮き彫りにした。

2市訪問のほとんどの間、報道陣を遠ざけていたトランプ氏は、訪問終了間際にカメラの前に姿を見せ、短いコメントを発表。乱射犯に立ち向かった「英雄たち」を称賛した後、自身を人種差別主義者だと非難し訪問を疑問視する政敵らへの攻撃を再開し、「きょうは政治活動を行うべきではない」と述べるとともに、オハイオ州選出の民主党のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員(民主党)を「とても不誠実だ」と批判した。

2市での歓迎ぶりは熱狂的とは言い難かったが、トランプ氏は温かな出迎えを受けたと強調。トランプ氏のソーシャルメディア運営を担当するダン・スカビーノ(Dan Scavino)大統領補佐官も、デートンの病院ではまるで「ロックスター」のような歓迎を受けたとツイッター(Twitter)に投稿した。

同日、トランプ氏は銃器購入の際の身元調査の厳格化をめぐって共和、民主両党が合意「間近」だとも発言している。銃所持の擁護派が反対するこの措置について、トランプ氏は「精神的に不安定な人々、怒りや憎悪を抱く人々の手に銃を与えたくはない」と語ったが、一方で、乱射事件で使われがちな軍用の殺傷用銃器が簡単に入手できる問題については、禁止へ向けた「政治的欲求はない」と述べた。

銃乱射事件をめぐっては、2020年米大統領選に向けた民主党候補の世論調査で支持率トップを走るジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領が同日、「白人至上主義の炎」をあおっているとトランプ氏を批判。トランプ氏は市へ向かう大統領専用機エアフォースワン(Air Force One)の中で、自身の言動は「人々を団結させる」との反論をツイッターに投稿していた。